「21歳男子、過疎の山村に住むことにしました」(水柿大地)

日本の将来の明るい可能性が記されています

「21歳男子、
 過疎の山村に住むことにしました」
(水柿大地)岩波ジュニア新書

中学校教員として、これまで
子どもたちが力を最大限発揮するための
手伝いができればと思い、
30年以上頑張ってきました。
子どもたちは力を身に付け、
その力をさらに発揮すべく
進学校に進み、大学へと進学しました。
本人にも、そしてその保護者にも、
何度も感謝されました。

でも…、今頃になって迷いがあります。
自分がしてきたことは、
優秀な人材を都会へ流出させている
だけなのではないだろうか。
自分はふるさとの過疎化を助長している
だけではないのだろうか。
明確な答えも
見通しも見つからないままです。
地方で教壇に立つものとして、
いつも自問自答を繰り返しています。

さてそんな中、心が明るくなる一冊を
見つけることができました。
ストレートなタイトルに惹かれ、
迷わず購入してしまいました。

まず、筆者の決断力に拍手。
大学を1年休学して
過疎の村の地域おこし協力隊を
志願することもさることながら、
最終的にその村に
定住を決めるに至っては
ただただ感心するばかりです。

次に、筆者の発想力に拍手。
まわりから言われたことを
やるのではありません。
自分で問題を見つけ、
自分でそれを解決すべく、
次から次へとアイディアを生み出す。
これが今の世の中で求められている
問題解決能力です。
盆踊りを復活させる件では、
読んでいるこちらも
ワクワクしてきました。

そして何といっても
筆者の人間力に拍手。
地域のお年寄りとも
しっかりと信頼を得る。
他の地域からのスタッフとも
息を合わせることができる。
こちらも現代社会での必須能力、
人間関係形成力・
コミュニケーション力です。

ここに、この本に、
日本の将来の
明るい可能性が記されています。
日本の過疎地域の
再生の可能性が記されています。
日本の若者の
無限の可能性が確かに記されています。

ぜひ中学生高校生に
読んで欲しいと思うのです。
そして私たち大人も
しっかり読むべき一冊です。
「それでは自分に何ができるか?」。
枯れかかった
決断力、発想力、人間力を、
今一度奮い起こして
考えてみようと思った次第です。

※2019年現在、著者が移住した
 岡山県美作市上山集落のHP
 (「集落」という単位でのHP!)
 を見ると、著者をはじめとする
 若年移住者数名の
 プロフィールが掲載されています。
 この集落は小さいながらも
 地域活性化に
 成功した例なのかも知れません。
 本書同様、
 学ぶべき点が多々あります。

(2019.12.5)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA